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はじめに
- 皆さま、こんにちは。
長野県中川村にあるお寺、常泉寺二十八世住職の安見 道壽(アミ ドウジュ)と申します。
この度はプロジェクトページを開いてくださり、誠にありがとうございます。
今回、常泉寺(中川村三共地区)の飛び地境内であり、村指定文化財「銭不動」修繕の一部費用を調達するため、クラウドファンディングをすることにしました。
最初に、中川村の説明から入りたいと思います。 -
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長野県中川村
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- 「日本で最も美しい村」連合に加盟する中川村は、中央アルプスと南アルプスを望む、長野県の南部にある人口5000人ほどの村です。昭和33年、古くは「天の中川」と呼ばれた天竜川を挟んで東側の南向村と西側の片桐村が合併してできた村で、天竜川を中心に結束する新しい村として中川村と命名されました。
村は、蛇行する天竜川を挟んで、南向地区と片桐地区に分かれており、それぞれに特色のある顔をもっています。南向地区は、南北に伊那山地が走り複雑な地形を呈しており、傾斜地が多く果樹栽培が盛んに行われています。一方、片桐地区は、段丘や扇状地上に平坦な農地が多く比較的規模の大きな農業経営が行われています。
晴れやかな場所や目立ったところはないけれど、それほど山深くもない「ちょうどいい」この村は、ゆったりとした時間を過ごすことができます。 -
村指定文化財「銭不動」について
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銭不動の説明
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- それでは本題となる銭不動についてお話しいたします。
貞享3年(1686年)に建立された中川村銭地区のお寺です。
別名花井山澄月寺と呼ばれています。常泉寺二十二世花井規外和尚がお寺を作りました。
昭和26年の宗教法人法の施行により、このお寺は法人格がなくなり、本寺である常泉寺の飛び地境内として私達が護って参りました。
山道をしばらく進み、山の中腹、標高950メートルにあるその寺は、その名の通り不動尊を祭っています。
本尊の不動明王は高さ30センチほどの木造です。
300年ほど前に土の中から掘り出されたもので、経年の傷みがあり顔の表情はわからないものの、筋肉や指などははっきりと残っています。
その逸話として、あるとき今の銭集落にあった田んぼの近くで馬が暴れだし、夜になると地中から怪しげな光が放たれていたそうです。不思議だと思いその地を掘り出してみると、お不動様が出てきたということです。その後お不動様は「馬の神様」として崇められるようになり、現在の地にお堂を建てて安置されました。
馬の不動尊と呼ばれ、各地から馬の仲買人が集まり、山が馬の色で赤くなるほどだったといいます。 -
- (銭不動内にある絵画に描かれている大勢の馬)
- また、このお不動様は以前、盗まれた事があるそうです。何年間か本尊様がなかったそうですが、ある時他の場所で銭のお不動様に似たお不動様の像が見つかったそうです。調べてみると銭のお不動様であることがわかり、本尊様が無事に戻ってこられたそうです。
このことから戦時中は軍隊で招集を受けた方がお参りに来られ、「必ず帰ってくる」ということで信仰があったそうです。
今は、交通手段は馬から車に代わり、「交通安全」の不動尊として祀られています。
寺は昭和47年に村史跡に認定されています。
昭和53年に草ぶきだった屋根が瓦になるなどお堂の大掛かりな改修が行われたのを機に、それまで4月25日に開かれていた例祭を、より人が集まれるようにと祝日の5月3日に変更し、現在に至っています。この例祭では、大般若六百巻が転読される祈祷法要が行われ、銭不動尊の御利益を参拝者の皆様に広められます。法要後は、陣馬太鼓の演奏で盛り上げて、持ち投げやお菓子投げなどを行い、銭集落にあるキャンプ場に来られる方々にも恒例で人気の例祭となっています。また5月3日は、日本中の緑が銭不動に集まったと思わせるような緑の豊かな時期であり、例祭を今後も続けていけるように今ある文化財を守ることが私達の使命であると考えています。
かつては近くに住む12軒で守っていたこのお寺も、戦後はほとんどの人が他の土地に移ましたが、現在も奉賛会の方々を中心に例祭や保全が行われ大事にされています。
境内には本堂・舞台・小堂2棟があります。特に杉や赤松の大木は必見です。
本堂の不動尊は馬の守護神として信仰をあつめ、4月25日の祭典には近在から集った1,000頭を超える馬であふれたと言う」と書かれ、当時をしのばせています。
また、銭不動には鎮守様(お寺の守り神)として鎮札大明神がおり、「金銭が外に出ていかない(循環して帰ってくる)」ようにする御利益があるといわれています。 -
- (絵本になった「帰ってきたお不動様」の伝説)
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銭不動の現状
- 現在は、銭集落の家も少なくなりましたが、歴史を鑑みると当地方の貴重な建造物としてもまた、地域信仰の対象としても重要な役割を担ってきたことは間違いありません。人々から大事にされ、銭集落を離れても護持されてきたのはその御利益が霊験あらたかなことはもちろん、文化財としても有形無形問わず銭不動の存在は大きなものと考えます。
- その銭不動が今最大の危機にあります。昭和の大改修で行われた銅板屋根の大部分に錆が発生してしまいました。厳しい環境の中耐えてきたお堂も半世紀を前に傷みが広がってしまいました。放っておくと、雨漏りが始まり本堂自体大きなダメージを受けてしまいます。
- ここで本堂の屋根を修復しないと、10年後には300年の歴史が終わってしまいます。ただの建物が解体されるだけでなく、繋いできた300年が無かったことになってしまう可能性もあるのです。
全国的にも稀なお不動様を護るお堂を今一度皆様の力で復興させて頂きたいと思います。 -
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「銭不動」を守りたい!
- いろいろな方々に愛されてきた場所を次世代に繋げたい想いと、今一度この文化財としての「銭不動」を皆様に知って頂きたい気持ちから、今回のクラウドファンディングに踏み切りました。この緑豊かな場所に大切な想いを寄せる歴史があることを繋げていきたい、そんな気持ちで新しいチャレンジを決めました。
- 今回のチャレンジを成功させ、また人が集まるような場所にして、現代版「帰ってきたお不動様」の御利益が必ずあることを証明したいと思います。
村と連携して、文化的に価値のあり、自然の恵みの中で一度は訪れたくなる「銭不動」を繋げていきたいです。 - ぜひ、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。 -
- (上空から見る銭地区、写真中央銭不動)